制作現場から ーこの3年ー
この時代を嘆いてばかりもいられません!頑張って制作しております。
が、なんとなく危機感が薄れた今こそ記録までに書き残してみました。
新型の、、”憎いコロなヤツ”がすっかり蔓延して今年で残念な3年目を迎えてしまいました。やむなく休業や廃業にまで追い込まれる業種業態も数多い中、自分もやはり大きなダメージを受けています。今まだ、あの”憎いコロなヤツ”を疑い、臆病でいたいと思います。
【仕入材料が調達できない】
”憎いコロなヤツ”の初報から様々なものが入手しずらくなりました。自分の場合は版となる素材が感染拡大防止対策の素材に周り、まったく流通しなくなっていました。仕入れができないということは作品が作れない状況に陥ってしまい、現実的に悲観せざるをえませんでした。3年経過した今は入手はできますが、やはり品薄で価格は高騰したままの状況です。この時期は代わりの表現方法を実験、模索ばかりしていた覚えがあります。
写真上下)欠品、入荷未定を伝える棚
【展覧会ができない】
これは”3密回避”の観点からどうしようもなかった実例です。
ギャラリーさんは自粛により営業することができませんでしたし、身の上では百貨店さんでの個展が中止・延期になりました。それに細々と開催しても大きな声でご来場くださいとは言えない世相でした。作品を販売・取り扱ってくださっている営業先さんも休業になってしまい、流通はゼロでした。行動制限のない今はおかげさまで展覧会も開催いただき制作依頼もさせて頂いております。
【消耗品が手にはいらない】
作品の制作にあたって版画領域のみならず美術全般で自身を保護するもの、環境を保護するものなど数々の消耗品が必要になります。
たとえば「マスク」。油性インクなどで汚れるため洗って再利用も難しいですし、薬品を使用するのであれば専用のカートリッジも必要です。
そして「ゴム手袋」。耐薬品のニトリル手袋はまさに医療現場で使用するためもちろん医療優先です。こちらもしばらく入手することができず、購入が出来ても数量制限があります。今は店頭在庫も並ぶようになってきましたが価格は3倍近くになっています。
版画専門の消耗品では材料をつくるメーカーさんや製造業者さんも生産する事が困難だったので芋づる式に消耗品となる材料も作れずにいたようで、当時はまったく見通しがたたないとの回答もありました。さらには減産。今も一部商品は製造が細っていますし価格は益々、高騰し続けています。
【企画事業も中止に】
商業施設での個展、公共施設での講習会を企画頂いていましたが、こちらも宣言の発令や状況を鑑み、複数回中止となりました。それまでの打ち合わせや準備、そして主催者さま、申し込んでいただいた方々の思いも白紙に戻ってしまいました。
しかし、ありがたいことに当時の企画をあたため続けていただいた担当者さまなどによって実施していただいた事に深く感謝申しあげます。
ささやかながら主宰していた「版画教室」は残念ながら解散となってしまいました。。。またいつか再開したい想いは強くもっています。
※講習会の中止を伝える告知
【制作場所にて】
自身はアトリエで制作できるのですが、時には公共施設の大型設備を使用することがあります。しかし、宣言下や状況で公共施設は休業、利用制限となり、しばらくの間使用するこができなかったので、制作は立ち止まりです。その後は人数制限、換気などの対策を経て、今は通常どおり使用することができております。
【変化した通信環境】
ありがたい事にこのような状況下の中でもお仕事のお話は進んでおりました。しかし、会議だからといって顔を合わせての打ち合わせは疑わしく、難があります。「リモートワーク」、「ビデオ会議」、「メール」、「オンデマンド動画」など様々な代替方法に置き換わりました。しかも手に入れることが困難でした。現在もこれらの方法を取り入れながらお仕事させていただいておりますが、何よりもこの環境を維持するためのWifiの契約、あらゆる電子機材の購入に多額の自費が必要で、時間も必要でした。時代の流れをあまりに早く感じています。
※非常勤講師でのお仕事には必須の機器も探しまわりましたが、
当時はどこも入荷が未定でした。
他にもまだまだ影響を受けている場面は多く、あらゆる事に「制限」がかかり、「自粛」、「禁止」など不自由で残念な時代になってしまいました。この苦労や無念な思いはもちろん自分だけではありませんし、それが当たり前な昨今をどう乗り切るかいつも考えて、少しでも前を向いて歩いています。
こんな時代にも関わらず、拙作をお買い上げいただき、必要としてくださる方々がおり、そして作品を世に送り出してくださる画商さん、版元さん、販売員さんに感謝申し上げます。